永代供養の特徴は?戒名や位牌の疑問についても解説

永代供養とは、家族の代わりに霊園管理者が故人様の供養をすることです。お墓の管理も一任できるため、維持にかかる負担を減らせる点は大きなメリットといえます。
近年はお墓の後継者がいない人、子供や孫の負担を減らしたい人が永代供養を選択するケースが増えています。とはいえ、戒名や位牌、法事はどうすればよいのかと疑問を持つ方もいるでしょう。
この記事では、永代供養の特徴と注意すべきポイント、戒名や位牌の疑問について解説しています。また、お墓参りや法事の仕方に関してもふれているので、参考にしてください。
永代供養とは
永代供養とは墓地、霊園の管理者へお墓の管理や供養を一任することです。
自分のために永代供養墓を生前契約したり、先祖代々のお墓を永代供養墓へ改葬したりすることもできます。そのため、終活の一環や、子や孫の負担を減らせるとして永代供養を選択する人が増えてきています。
永代供養は納骨してから個別で安置したあと、他の方の遺骨と一緒に合同墓へ納めるのが特徴です。これを合祀(ごうし)といいますが、以降は故人様の遺骨を取り出せなくなることに注意してください。個別の安置期間は三十三回忌、五十回忌までとしているところが多くみられます。
お墓の種類は主に4つです。
- 個人墓
- 合同墓
- 樹木葬
- 納骨堂
環境や費用、特徴は施設によって異なるため、問い合わせて確認しましょう。
永代供養の特徴
永代供養の特徴は、主に心身および金銭的な負担を減らせることです。宗教や宗派もこだわりがなく、無宗教の方にもおすすめできます。それぞれを詳しくみていきます。
心身への負担が少ない
通常、お墓は自分たちできれいにしてお参りや法事を行いますが、年配の方、遠方の方にとっては負担になることもあるでしょう。自分たちでお墓を管理できない、または継承者がいないときでも、永代供養であれば無縁墓にせずに済みます。
供養は毎日お坊さんが読経してくれるところもあれば、お彼岸やお盆に合同供養を行うところもあり、場所によって規模や頻度が異なります。ただし、お寺や宗派によっては教えに基づいた方法で供養を行うところもあるため、事前に確認してください。
金銭的な負担を減らせる
通常より費用を抑えられるのも、永代供養の特徴です。とはいえ、個人のお墓を新たに建立するというケースでは高額になります。
永代供養墓は合同墓や個人墓などがありますが、より低価格なのは合同墓です。
また、初期費用を支払えばお布施や管理費は不要としているところが多いものの、定期的な支払いが必要なところもあります。そのため、費用や内訳に関しては細部までチェックしてください。
宗教や宗派を問わず利用できる
霊園や霊廟といった施設であれば、宗教や宗派にかかわらず永代供養が出来ると考えてください。ただし、お寺や特定の宗教が運営している場合、入信が定められていることもあります。
自分が信仰している宗教や宗派にのっとった供養を希望する場合は、運営している団体を確かめましょう。
戒名や位牌の必要性
永代供養では基本的に戒名は不要です。戒名は故人様への敬意を表すものですが、俗名(故人様の氏名)でもかまいません。ただし、オプションで戒名をもらうことも可能ですので事前に相談してください。
位牌に関しては「自分たちに代わって供養をしてもらうのであれば不要では?」と思う方もいるでしょう。ですが、自宅に位牌を置いて故人様の安寧を願っても問題ありません。

極端なことをいえば、戒名や位牌などはツールに過ぎません。もっとも大切なのは、故人様を思う気持ちです。そのためにも、家族や親族、菩提寺と話し合って最適な方法を一緒に考えていきましょう。
お墓参りや法事について
永代供養は法事も施設側で執り行いますが、個別で行ってもかまいません。ですが、実際に執り行うときは施設へ相談してください。また、個別での法事はお布施や会場使用料がかかるので注意しましょう。個別で法事を営むタイミングとしては、四十九日、初盆、一周忌などが多いようです。
お墓参りも同様に個別で行えますが、施設によってやり方が異なります。
墓じまいと永代供養の違い
墓じまいとは今あるお墓を片付け、別の形で供養することです。永代供養は、納骨や供養のスタイルの1つです。ですから、墓じまいのあとに行う供養のなかに、永代供養があると考えてください。

永代供養の他には、手元供養や別の墓地、霊園にお墓を建てて納骨する方法もあります。

このように遺骨を別の場所に移すことを改葬といいますが、必ず菩提寺や親族の理解と了承を得てください。また、改葬にあたっては霊園や墓地の管理者と、お墓のある地域の役所との手続きが必要です。
永代供養の注意点
永代供養で注意すべきことは主に3つです。
合祀(ごうし)のあとは遺骨を取り出せない
永代供養は、個別の安置期間を過ぎると遺骨を合同墓へ納めます。そうすると故人様の遺骨を取り出せなくなるため「本当にこれでよかったのかな?」と疑問を抱くかもしれません。
ですから、永代供養をするときは、故人様の遺骨について親族ともよく話し合ってください。こうしたときに備えて分骨しておくのもよい方法です。
施設によっては、個別の安置期間を超えたときに延長契約できるところもあります。安置期間を長く取りたい方や、状況に合わせて対応できるようにしたい方は、延長に応じている施設を選びましょう。
親族や菩提寺とトラブルになるリスクがある
永代供養は親族からの理解を得にくく、トラブルになるリスクがあります。また、菩提寺がある場合も同様です。
故人様の供養を第三者に任せることに対して、親族が心理的な抵抗を抱くのは否定できません。お寺に関しても、永代供養に疑問を抱いているところもあります。ですから、事前に親族と菩提寺へ永代供養を検討していることを伝えてください。
親族に対しては現地を一緒に見学してもらったり、遺骨に関しては分骨できることを伝えたりして、不安を解消できるように働きかけましょう。
納骨できる人数が決まっている
永代供養墓は、納骨できる人数が決まっています。単独のお墓であれば1人、親子2世代であれば4~6人が一般的です。
決められた人数を超えて新たに遺骨を納めたいときは、新規で永代供養墓を契約します。そのため、家族であっても別々の場所へ埋葬される可能性があることは覚えておいてください。
ペットの永代供養もある
生活や人生のパートナーとして大切な、ペットのための永代供養もあります。人間と一緒に永代供養をする方法と、ペットのみを永代供養する方法の2つがあります。
大切なペットの死後も手厚く供養をしたいと考えている方は、永代供養も検討してください。ただし、費用やお墓に関しては運営している施設によって異なるため、必ず複数の施設から比較しましょう。
また、ペットのための供養がしっかり行われているか、お墓の状況や場所に関しても現地を見学してください。
多様性を重視する現代に則した供養のスタイル
永代供養とはお墓の管理、供養を墓地や霊園の管理者に一任することです。お墓の管理、維持に関する悩みや金銭的な負担を解決できるとして、利用者が増えつつあります。
永代供養墓には合同墓や個人墓など種類があり、それぞれ費用や特徴が異なります。また、供養の仕方も施設によって違うため、よく確認してください。法事は施設で行いますが、ご遺族様が個別で行ってもかまいません。ただし、事前に施設へ相談しましょう。
心身や金銭の負担を減らせる永代供養ですが、合同で遺骨を納めた後は取り出せなくなることと、納骨できる人数が決まっていることに注意してください。
永代供養を悔いのないものにするためには、自分に合った永代供養墓を選び、複数の施設を比較検討することです。実際に現地を見学して、安心して任せられるところを選びましょう。
