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認定死亡とは?遺体のない葬儀の執り行い方や失踪宣告との違いについても解説

認定死亡とは?遺体のない葬儀の執り行い方や失踪宣告との違いについても解説

「認定死亡って何?」「誰が死亡と判断するの?その理由は何?」
認定死亡と聞いて、このような疑問を持つ人がいるでしょう。

認定死亡とは、災害や事故などで何日も遺体が見つからないとき、行政がその死を認定する制度です。

認定死亡と似ている制度には、失踪宣告があります。失踪宣告とは、何らかの事情によってその行方、生死が分からなくなった人物が死亡したとみなす制度です。

認定死亡とされた人の葬儀は遺体がないため、位牌や思い出の品を祭壇に飾って安らぎを願います。棺やドライアイス、火葬場などは利用しません。

今回の記事では認定死亡の概要と葬儀の執り行い方、失踪宣告との違いについて解説しています。合わせて認定後に生存が確認できたときの対応の仕方にもふれています。

認定死亡制度について知り、万が一の備えにするために記事に目を通しましょう。

目次

認定死亡とは?

認定死亡とは、医師に代わって行政がその死を認定する制度です。行政が死亡したと判断するのは、災害や大規模な事故などに巻き込まれ、何日も遺体が見つからないときです。

行政が死亡したと判断したあと、亡くなった地域の市町村長に報告します。報告を受けた市町村長は、戸籍に死亡の旨を記載します。

以下に、災害や事故などの状況から死亡したと判断できる具体的な例を3つ挙げました。

  • 飛行機が海上で墜落したとき
  • 炭鉱内で落石事故が起きたとき
  • 水中で溺れてから長時間経過したとき

なお、認定死亡とされた人に配偶者がいた場合、その時点で婚姻関係は解消されます。配偶者の再婚については後述します。

認定死亡制度が必要な理由

認定死亡制度が必要なのは、葬儀や相続などの手続きに着手できるようにするためです。

行方不明になったまま生存が確認できない状況が続いたとき、死後に行うべき手続きが行えません。また、残された家族が生活に窮する可能性があります。

制度によって死亡と認定されれば、葬儀や相続の手続きに着手できます。

認定死亡者の葬儀の特徴

認定死亡者の葬儀の特徴は、遺体がなく、棺や火葬場などを利用しないことです。

そのため、葬儀費用が通常と異なる可能性があります。認定死亡者の葬儀を執り行うときは、打ち合わせの段階で葬儀会社に確認しましょう。

遺体のない葬儀では、故人様の思い出の品や写真などを祭壇に置いてその死を悼みます。位牌が必要なときは、菩提寺または葬儀会社を通じて寺院に依頼しましょう。

そのほかの流れに関しては、通常のお葬式と変わりません。

なかには、親族のみで仮葬儀を行って、遺体が見つかってから本葬儀またはお別れ会を開くことがあります。

認定死亡と失踪宣告の違い

認定死亡と失踪宣告は、いずれも生存が確認できない状況を示すものの、次の4つの点において明確に異なります。

  • 法律
  • 死亡の確実性
  • 認定機関
  • 認定されるまでの期間

なお、失踪宣告には2種類あります。

  • 普通失踪
  • 特別失踪

普通失踪とは、本人の所在が不明になっている状況です。特別失踪は、災害や事故などに巻き込まれて生死が分からない状況を示します。

法律

認定死亡と失踪宣告は根拠となる法律が異なります。以下に簡単にまとめました。

法律制度
戸籍法89条認定死亡
民法失踪宣告

認定死亡は戸籍法89条に基づいて行政が認定します。戸籍に記載されるのは、死亡が推定される年月日や場所、報告を受けた市町村長が戸籍に死亡と記載した旨などです。

失踪宣告は生死が分からない期間が継続したときに、家庭裁判所が民法に基づいて死亡したものとみなす制度です。戸籍の「死亡」欄に、死亡したとみなされた年月日と失踪宣告が確定した年月日などが記載されます。

死亡の確実性

死亡の確実性とは、その状況で生存を確認できない可能性が極めて高いということです。つまり、より死亡の確実性が高いのは認定死亡です。

行政が死亡と認定するときは、あらゆる要素を検証して慎重に行います。例えば、船が転覆して乗員が海に投げ出されたとしましょう。認定にあたって確認、検証するポイントは主に以下の点です。

  • 船の残骸および乗員の衣服や携行品などの残存物があるかどうか
  • 船が転覆して海に投げ出されたところを目撃した人がいるかどうか
  • 投げ出された直後から周辺を捜索して所在を確認できたか否か

詳細は、新日本法規WEBサイトで公開されている以下のPDFを確認してください。

災害による行方不明者の場合 (認定死亡)(新日本法規WEBサイト)

これらの点から死亡が確実だと判断できたとき、行政はその人が死亡したと認定します。
失踪宣告の死亡の確実性が低いのは、本人が生存している可能性があるためです。

認定機関

認定死亡と失踪宣告の認定機関を以下にまとめました。

認定機関制度
官公庁認定死亡
家庭裁判所失踪宣告

認定死亡においては、判断を下す機関が事故の内容によって異なります。水難事故の場合は海上保安庁、航空機や鉄道事故の場合は国土交通省が認定します。

失踪宣告を確定するのは家庭裁判所です。

認定されるまでの期間

認定死亡と失踪宣告では、認定されるまでの期間が異なります。以下にそれぞれの期間をまとめました。

期間制度
特になし認定死亡
7年失踪宣告(普通失踪)
1年特別失踪

認定死亡は期間の定めがなく、行政が死亡したと判断すれば認定されます。ただし、認定されるまでは数か月かかります。なぜなら、生存者の捜索や遺体の回収などを行うためです。

失踪宣告は、生死が分からない状態が7年続いたときに家庭裁判所が確定します。特別失踪が確定するのは災害や事故に巻き込まれてから1年間、生死を確認できない状況が続いたときです。

認定後に生存が確認できたときの対応

認定を受けた人が後に生存していたとき、以下の3点への対応が求められます。

  • 戸籍
  • 相続した財産
  • 婚姻関係

認定死亡者の戸籍は、生存が確認できれば自動的に訂正されます。失踪宣告を受けた人の戸籍を訂正するときは、「失踪宣告の取り消し申立書」を家庭裁判所に提出してください。

相続した財産は生存の事実が確認できたときに返還義務が発生します。例えば、生存していることが分かったとき、相続した財産が4000万円ある場合、その全額を本人に返還します。

生存の事実を知らなかったときに消費、処分した財産には返還の義務はありません。

亡くなったとされる人に配偶者がいたときは、認定された時点で婚姻関係が解消されます。そのため配偶者は再婚できるものの、生存が確認できたとき、その事実を知った時期によって対応が異なります。

例えば、再婚するときに生存の事実を知らなかったとしましょう。この場合、亡くなったとされる人との婚姻関係は復活しません。そのため再婚後の婚姻関係のみが戸籍に残ります。

再婚前から、2人のうちどちらかが生存していることを知っていた場合、配偶者と亡くなったとされる人との婚姻関係が復活します。そのため、再婚相手との婚姻関係を取り消すか、亡くなったとされる人と離婚するかを選択してください。

なお、財産や婚姻関係に関しては必ず専門家に相談しましょう。

【まとめ】認定死亡について知り万が一に備える

認定死亡は、医師に代わって行政がその人の死亡を認定します。行政が死亡と認定するのは、災害や事故などで死亡している可能性が高いものの、遺体が見つからないときです。

認定死亡制度が設けられているのは、残された家族が死後の手続きを行えるようにするためです。

認定死亡者の葬儀では、位牌や写真などを祭壇に飾ってその死を悼みます。棺や火葬場などを利用しないため、葬儀費用が通常の葬儀と異なる可能性があります。

大切な人が災害や事故に巻き込まれ、その生死を確認できない状況は非常につらく、悲しいものです。そのような状況でも、認定死亡によって葬儀や手続きを行えば気持ちを整理できる可能性があります。

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