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天理教の家族葬の流れは?葬儀中の作法や香典袋の選び方についても解説

天理教の家族葬の流れは?葬儀中の作法や香典袋の選び方についても解説

天理教は神道の流れをくんだ宗教です。江戸時代の末期に開かれ、現在は国内外を問わず教会が存在します。

天理教では、亡くなることを「出直し」といったり戒名の代わりに諡(おくりな)を付けたりするなど、独自の慣習を持っています。そのため、葬儀に参列するときはとまどうこともあるでしょう。

基本的には神式のお葬式に近いのですが、天理教ならではのやり方や作法があります。
なかでも玉串奉献(たまぐしほうけん)や列拝(れっぱい)のやり方は、事前に押さえておきたいポイントです。

今回の記事で解説しているのは、天理教の家族葬の流れと葬儀中の作法です。
また、香典袋の選び方についてもふれているので参考にしてください。

目次

天理教の葬儀の特徴

以下に、天理教の葬儀の特徴を4つ挙げました。

  • お悔やみの言葉を使わない
  • お通夜を重視する
  • 数珠を使わない
  • 戒名を諡(おくりな)という

天理教ではお悔やみの言葉を使いません。「出直し」といって、肉体は神様からの借り物であり、新たな肉体を得るまで神様に魂をゆだねるという考えからきています。

ですから、挨拶するときは注意してください。伝え方は後述します。

また、告別式よりもお通夜を重視します。
なかでも神様に故人様の体を返すための「みたまうつしの儀」がもっとも重要です。
儀式は基本的に夜間に行いますが、昼間に行うときは室内を暗くします。

天理教は神道の流れをくんだ宗教のため、仏教用具である数珠は使いません。ただし、袱紗(ふくさ)は使用できます。

仏教における戒名を、天理教では諡(おくりな)といいます。
故人様の生前の行いに対して付けられるもので、金銭のやりとりはありません。

天理教の家族葬の流れ

天理教のやり方で家族葬を行うときの流れを以下にまとめました。葬儀は、お通夜にあたるみたまうつしの儀と告別式の2日間にわたって行われます。

みたまうつしの儀と告別式のやり方に大きな違いなありません。
ただし、地域によってはやり方が一部異なることがあるため、参考にとどめてください。

みたまうつしの儀(お通夜)

みたまうつしの儀は、次の流れで行います。

  1. 入場
  2. 祓詞奏上(はらえことばそうじょう)
  3. みたまうつしの儀
  4. 献饌(けんせん)
  5. 斎主による玉串奉献(たまぐしほうけん)
  6. しずめの詞(ことば)奏上
  7. 斎員列拝
  8. 喪主と参列者による玉串奉献と列拝
  9. 撤饌(てっせん)
  10. 退場

祓詞奏上とは、神事の始めに行われるお祓いです。奏上するのは斎主といって、仏教における僧侶の役割を果たす人です。また、式場内には助手の役割を果たす斎員もいます。

献饌(けんせん)とは、神様へのお供え物を捧げる儀式です。
お供えできるものについては後述します。

みたまうつしの儀を行うにあたって、うつしの詞を奏上します。

みたまうつしの儀は、故人様の魂を御霊代(みたましろ)に移し、新しい肉体をもって生まれ変わるまで神様に預かってもらうための儀式です。

御霊代に使われるのは白木の霊璽(れいじ)か故人様の愛用品です。
かつては鏡が使われていました。

玉串奉献は、仏式における焼香です。やり方は後述します。

儀式が終わると故人様に諡(おくりな)が与えられます。

撤饌(てっせん)はお供え物を下げることをいいますが、時間の都合によって献饌とともに省略されることがあります。

告別式

告別式の流れは次の通りです。

  1. 入場
  2. 献饌
  3. しのびの詞奏上
  4. 斎主による玉串奉献
  5. 葬場詞奏上
  6. 斎員列拝
  7. 喪主および参列者による玉串奉献と列拝
  8. 撤饌
  9. 斎主および斎員退場

弔電や弔辞を読むときは、一般参列者による玉串奉献と列拝後に行います。

出棺は斎主と斎員の退場後、式場内でご遺族様を中心に故人様と最後のお別れをしたあとです。

天理教における初七日と四十九日

天理教では、法事や法要を「旬日祭」といいます。

亡くなった日を1日目として、10日ごとに執り行うのが一般的です。仏式でいう四十九日は、五十日祭といって盛大に執り行われます。

旬日祭特徴
十日祭
(初七日)
葬儀当日に行うこともある
会食はほぼなし
五十日祭
(四十九日)
お香典として玉串料が必要
翌日に忌明け

天理教の葬儀におけるマナー

天理教は神式の流れをくんでいるため、仏式になじんでいる人にとってはとまどう場面もあるでしょう。
参列にあたって押さえたいポイントを以下にまとめました。

挨拶の仕方

天理教の葬儀ではお悔やみの言葉は不要です。
なぜなら、人が亡くなることを「出直し」といって悲しむものではないと考えているからです。

挨拶するときは次のように伝えましょう。

「哀悼の意を表します」
「安らかなお眠りをお祈り申し上げます」

お供えできるものと表書き

お供えできるものとできないものは以下の通りです。

お供えできるものお供えできないもの
飲食物
(お酒や魚も含む)
線香や抹香
日用品ろうそく

お供え物は基本的に飲食物や日用品といった消え物ですが、生前の故人様が好んでいたものでもかまいません。
また、魚やお酒もお供えできます。

天理教では葬儀の際、線香や抹香、ろうそくなどを用いません。
線香やろうそくは仏教の教えに基づいたもののため、天理教のお葬式に参列するときは避けてください。

お供え物の表書きは、次のうちいずれかです。

  • 御供
  • 奉献

玉串奉献のやり方

玉串奉献は榊を祭壇に捧げることを指し、仏教でいう焼香です。
「祈る人の気持ちを玉串に乗せて神様に捧げる」という意味があります。

手順は次の通りです。

  1. 玉串の枝を右手で持ち左手を葉の部分に添える
  2. 祭壇前で軽く一礼する
  3. 玉串の葉を自分に向けて持ち替える
  4. 玉串を祭壇に手向ける

玉串の葉を自分に向けて持ち替えるときは、時計回りになるようにしてください。

列拝のやり方

列拝するときは「二礼四拍手一拝四拍手一礼」で行います。
礼と拝の違いは、お辞儀の角度です。礼は頭を30度下げ、拝は90度に深く頭を下げます。

  1. 2度軽くお辞儀をする
  2. 4回拍手する
  3. 1度深くお辞儀をする
  4. 4回拍手する
  5. 1度軽くお辞儀をする

なお、神道は拍手するとき音を出さずに行いますが、天理教は音を出してもかまいません。

お香典と服装のポイント

天理教の葬儀に参列するときのお香典と服装のポイントをみていきます。

お香典

お香典に包む金額は一般的な葬儀と同じです。

表書きや香典袋の選び方などを以下にまとめました。

表書き香典袋水引の色
玉串料
御榊料
御霊前
無地白黒
白黄

お香典の表書きは「玉串料」もしくは「御榊料」です。「御霊前」でもかまいません。

香典袋を選ぶときは、無地のシンプルなものを選びましょう。
蓮や百合が描かれているものは避けてください。
蓮は仏教、百合はキリスト教に関連するため、天理教には当てはまりません。

水引の色は白黒が無難です。白黄は一部地域で用いられます。

服装

一般的な喪服を着用します。特別な装いやマナーはありません。

ただし、天理教の信者は着物やハッピを着用することもあります。

天理教の作法にのっとって故人様の安らぎを願う

天理教は、お通夜にあたるみたまうつしの儀を重視します。
神道の流れをくんでいるため、数珠や線香など仏教にちなんだものは用いません。

葬儀中に行う玉串奉献や列拝などは、慣れていない人にとって緊張するでしょう。
ですが、もっとも大切なのは故人様の安らぎを願う気持ちです。

分からないことや不安なことがあれば、周囲の人に聞いてみましょう。

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