檀家とは?檀家になるメリットとデメリットや注意点についても解説
「檀家って、何?」「檀家になるメリットは何?」
檀家と聞くと、このような疑問を持つでしょう。
檀家とは、特定の寺院を経済的に支援する家のことです。檀家になることを入壇(にゅうだん)といいます。入壇すると法要のときに優先して対応してもらえるほか、故人様やご先祖様を手厚く供養してもらえます。
入壇にあたって注意したいのは、金銭的な負担がかかるほか、行事に参加するためプライベートな時間を取りにくくなる可能性があることです。
今回の記事では、檀家の概要と檀家になるメリットとデメリットについて解説しています。合わせて、檀家になるときの手続きや檀家になるかどうかを判断するポイントにもふれています。
檀家について知り、メリットとデメリットを把握したうえで判断しやすくなるよう記事に目を通しましょう。
檀家とは?
檀家とは、特定の寺院の信徒になりお布施や会費を支払って経済的に支援する家のことです。檀家になるにあたって契約を結んだ寺院は檀那寺(だんなでら)といいます。檀那寺と似ている言葉に菩提寺があります。
檀那寺と菩提寺の違いを以下にまとめました。
寺院 | 特徴 |
---|---|
檀那寺 | 経済的に支援している寺院 |
菩提寺 | 先祖代々のお墓がある寺院 |
檀那寺は檀家の支援を受けている寺院を指します。そのため、先祖代々のお墓がなかったり故人様の供養を行わなかったりすることがあります。
菩提寺は先祖代々のお墓がある寺院のことです。ただし、現在は葬儀や法要を依頼できる寺院も含みます。なお、葬儀や法要を依頼するにあたって檀家になっているかどうかは問いません。
檀家になっているかどうかを確認する方法
檀家になっているかどうかを確認する方法は主に3つです。
- 家族や親族に確認する
- お墓の場所を確認する
- 位牌や戒名から宗派を推測する
家族に確認すると、檀家になっているかどうかを教えてもらいやすくなります。また、檀家になるときに交わした契約書について教えてもらえるでしょう。
お墓の場所を確認したとき、墓地に建てられている場合は檀家になっている可能性が高いといえます。なぜなら、墓地は寺院の境内地にあるお墓を指す言葉のためです。
位牌や戒名に使われている文字は、宗派によって異なります。そのため、位牌や戒名を確認して宗派を推測し、最寄りの寺院に問い合わせれば檀家になっているかどうかを確認しやすくなります。
檀家になるメリット
檀家になるメリットは主に3つです。
- 法要のときに優先して対応してもらえる
- 故人様やご先祖様を手厚く供養してもらえる
- マナーやしきたりについて相談できる
法要のときに優先して対応してもらえる
法要のときに優先して対応してもらえるため、故人様を偲ぶ気持ちに寄り添ってもらえる安心感が得られるでしょう。
一般的に、お盆やお彼岸などは寺院にとって繁忙期です。そのため、法要を執り行うときは早い段階で日程を決めて寺院に相談することになります。
なお、法要のほかに葬儀や納骨、お墓の建立などを手配してもらうことも可能です。
故人様やご先祖様を手厚く供養してもらえる
故人様やご先祖様を手厚く供養してもらえるため、亡くなった人に感謝の気持ちを伝えやすくなります。檀那寺がお墓を管理している場合はお経をあげてもらえるほか、月命日に自宅の仏壇にお参りに来てもらえることがあります。
ただし、故人様の供養を行っているかどうかは寺院によって異なるため確認してください。
マナーやしきたりについて相談できる
マナーやしきたりについて相談できるため、安心して葬儀や法要に臨めます。
喪主として葬儀や法要を執り行うことになったとき、しきたりやマナーを把握できているかどうか不安になるでしょう。
檀家になっていると、不安に思うことや疑問点を僧侶に相談できます。
また、他の檀家と顔を合わせて話す機会を得やすいため、葬儀や法要における風習を把握しやすくなるでしょう。
檀家になるデメリット
檀家になるデメリットを以下に3つ挙げました。
- 経済的な負担がかかる
- プライベートの時間を取りにくくなる
- 他の寺院に相談しにくくなる
経済的な負担がかかる
経済的な負担がかかるのは、入壇料やお布施などを用意するためです。入壇料とは、檀家になるときに支払う費用です。入壇料のほかに必要な費用と使途を以下にまとめました。
費用 | 使途 |
---|---|
お布施 | 法要や季節の行事 |
維持費 | 寺院の運営および維持 お墓の管理 |
寄付金 | 僧侶の住居の修繕や改築 |
なお、具体的な金額は入壇を検討している寺院に問い合わせてください。
プライベートの時間を取りにくくなる
プライベートの時間を取りにくくなるのは、寺院の行事に参加したり運営のお手伝いをすることがあるためです。
行事とプライベートな予定が重なっているときは、行事に参加するために予定を調整することがあるでしょう。
ただし、行事の頻度および参加の義務があるかどうかは寺院によって異なります。檀家になる前に、寺院に確認のうえ相談しましょう。
他の寺院に相談しにくくなる
他の寺院に相談しにくくなるのは、檀家になっている寺院と契約を結んでいるためです。入壇している状態で他の寺院に相談すると、檀那寺との関係に軋轢が生じる恐れがあります。
また、葬儀や法要を執り行うときは檀那寺の宗派に則って執り行うため、結婚相手が檀那寺とは異なる宗派を信仰しているときは話し合うことになります。
檀家になるかどうかを判断するポイント
檀家になるかどうかを判断するポイントは以下の4つです。
- 寺院や宗派の価値観
- 支出のバランス
- 行事への参加の可否
- 転勤や引越しの予定の有無
4つのポイントごとに、入壇に適しているケースと適していないケースをまとめました。
判断するポイント | 入壇に適しているケース | 入壇に適していないケース |
---|---|---|
寺院や宗派の価値観 | 共感できる | 共感できない |
支出のバランス | バランスが取れている | バランスが取れていない |
行事への参加の可否 | 無理なく参加できる | 参加しにくい または参加できない |
転勤や引っ越しの予定の有無 | 転勤や引っ越しの予定がない | 転勤や引っ越しの予定がある |
檀家になることを検討している場合は、寺院や宗派の価値観に共感できるところを探しましょう。
また、寺院に行って住職と直接話せば、人柄や寺院の雰囲気を確認しやすくなります。住職がSNSアカウントを運用している場合は、投稿内容も判断材料にできます。
支出のバランスにおいてお布施や寄付の負担が大きいときは、寺院に相談すれば対応してもらえる可能性があります。
行事への参加は寺院によって頻度が異なります。参加しにくい事情があるときは、入壇前に相談しましょう。
転勤や引っ越しを予定している場合、寺院やお墓に通いにくくなります。ただし、引越し先で同じ宗派の僧侶を手配してもらえたりオンラインで対応してもらえたりする可能性があります。
檀家になる前に家族の同意を得る
家族の同意を得る理由は4つあります。
- 金銭の負担が発生するため
- 特定の宗教・宗派と密接な関係を構築するため
- 寺院の行事に家族も参加することがあるため
- 檀家を子どもや孫に引き継いでもらうことがあるため
お布施や維持費などの負担が発生するため、家計に影響を与えます。檀家として支払う金額と家計のバランスを明確にしたうえで判断しましょう。
また、特定の宗教・宗派と密接な関係を構築するため、宗教観や考え方の違いから家族との関係が悪化する恐れがあります。家族のなかに宗教に対して否定的な考えを持つ人がいる場合は、時間をかけて話し合ってください。
寺院の行事に家族も参加することがあるため、プライベートな予定を入れにくくなる可能性があります。家族に納得してもらえるよう、寺院の行事に参加する意義や必要性を説明しましょう。
檀家を子どもや孫に引き継いでもらうことを、祭祀継承(さいしけいしょう)といいます。祭祀継承とは祭祀財産を相続することです。祭祀財産には、檀家の他にお墓や仏壇、家系図などが挙げられます。
祭祀継承者として子どもが檀家を引き継いだ場合、お布施や維持費などを支払ったり行事に参加したりするため金銭や私生活に負担がかかります。
檀家を引き継いでもらえるかどうか、子どもの意志を確認してください。
檀家になるための手続き
檀家になるための手続きは以下のとおりです。
- 寺院に入壇の意志を伝える
- 書類に記入して提出する
- 入壇料を支払う
始めに寺院に入壇の意志を伝え、住職と面談します。面談の際に話すのは、費用や行事などについてです。不明な点があれば質問して詳細を教えてもらいましょう。
次に、以下の2つの書類に必要事項を記入して提出します。
- 檀家契約書
- 墓地契約書
最後に入壇料を支払って、手続きは完了です。
まとめ:檀家になるメリットとデメリットを把握したうえで検討しよう
檀家とは、寺院と契約して経済的に支援する家のことです。
檀家になると、法要や葬儀などにおいて優先して対応してもらえるほか、しきたりやマナーについて相談できます。
そのため、故人様やご先祖さまを手厚く供養したいときや、冠婚葬祭に関する正確な情報を把握したいときは入壇を検討しましょう。
ただし、檀家になるとお布施や寄付金を用意するほか、行事に参加するためにスケジュールを調整するなどの対応が求められます。
檀家になるかどうかを検討するときは、メリットとデメリットを把握したうえで、家族と話し合って決めましょう。