直葬の流れと費用相場は?マナーについても解説
直葬とは火葬のみで行い、お通夜や告別式を行わない方法です。とてもシンプルな葬儀で、ご遺族様の金銭的な負担や心身への負担を和らげることができます。核家族化や一人住まいの方が増えている今、故人様を直葬でお見送りするケースがみられるようになりました。
とはいえ、宗教的儀式を省略するスタイルに批判的な意見を持っている方が多いのも事実です。
この記事では直葬の流れとメリットとデメリット、費用相場のほかに直葬のマナーも解説しています。
直葬の流れ
直葬を行うときは以下の流れで執り行います。
- ご臨終
- お迎えと安置
- 納棺~出棺
- 火葬
- 骨上げ
直葬ではお通夜と告別式は行いません。そのため、通常よりも簡潔な流れになります。
ご臨終
ご臨終を迎えられたとき、葬儀会社に連絡をします。寝台車にて故人様をお迎えにきてもらえるため、ご遺族様の手を煩わせることはありません。
ご臨終を病院で迎えられた場合、安置室は長時間の利用ができかねますので時間を問わず、早めに葬儀会社へ連絡してください。
また介護施設で亡くなった場合も早めに葬儀会社へ連絡します。介護施設は霊安室を設けていないところが多く、故人様にゆっくりお休みいただけるところへお連れする必要があります。
自宅で亡くなった場合は、病院に連絡をして医師に死亡診断書を書いてもらいます。この死亡診断書がないと火葬や納骨ができません。そのあと葬儀会社へ連絡してください。
故人様をお迎えしたあと、葬儀会社のスタッフと日程や直葬の流れについて打ち合わせを行います。ご遺体に法衣を着せたい、または棺にお花を入れたいという希望があるならこのときにスタッフに相談してください。
また火葬しているあいだの待ち時間に食事をとりたいというときも、スタッフに相談してオーダーしてください。
お迎えと安置
故人様をお迎えしたら、ご遺体を安置室に安置します。ご自宅に安置することもできますが、集合住宅の場合はエレベーターで棺が運べるかというスペースの問題、近隣住民への配慮が求められる点から斎場の安置室を利用するケースが多くあります。
火葬の日程が決定したら、そのときまで故人様には安置室にて安置します。火葬はたいてい翌日に行われますが、混み合っているときは数日後になることもあります。
ご遺族様の付き添いは特に必要ありませんので、自宅で心身を休められます。自宅に戻ったときに、故人様の棺に納めるゆかりの品物を選んでおくと悔いを残さずにお見送りできます。
納棺~出棺
納棺は故人様を安置している場所で行います。納棺は葬儀スタッフの指示に従って、ご遺族様、ご親族様が中心となって行います。最後のお別れの時間は短いと5~10分、長くても30~40分程度です。
納棺が終わったら、ご出棺です。
火葬~骨上げ
火葬はおよそ1~1.5時間かかります。葬儀会社へ事前にオーダーしておくと、待ち時間のあいだに食事を取ることも出来ます。
火葬が終わったら、お骨を骨壺に納めてお線香を手向けます。
これで直葬は終わります。
直葬の費用相場
直葬の費用相場は平均20~30万円ほどです。これは火葬費用やご遺体の搬送費、棺や骨壺など必要最低限のもののみを利用するためです。お坊さんによる読経も行わないため、お布施も必要ありません。
お葬式のスタイル | 費用相場 |
直葬 | 25~30万円 |
一日葬 | 25~50万円 |
家族葬 | 40~100万円 |
一般葬 | 70~180万円 |
このようにほかの葬儀と比べても、直葬はかなり費用が抑えられていることが分かります。
直葬のメリット
直葬のメリットは主に2つあります。
費用を抑える
必要最低限のもののみを利用するため、負担する費用を抑えることができます。
ご遺族様の精神的負担を軽減できる
直葬に立ち会うのはご遺族様ご親族様のみです。そのため、喪主の挨拶やお坊さん、参列者への対応がなく精神的負担を軽減できます。またお香典返しや挨拶回りも不要のため、胸の痛みをやわらげる時間を取ることが出来ます。
直葬のデメリット
直葬を行うことによるデメリットは3つあります。
弔問
直葬後に故人様の死を知った人から、弔問したいと連絡がくることがあります。費用や手間を抑えるために直葬を選択しても、かえって手間と時間がかかってしまうというケースです。
この問題は弔問を辞退する旨を葬儀後に通知することで回避できます。親しい間柄なら口頭でもかまいませんが、はがきや手紙で伝える方がより親切でていねいな印象です。また、訃報とともに辞退の意を伝えることも可能です。
ご遺族様が弔問を辞退しても、どうしてもと訪ねてくる方もいます。そのようなときは弔問を辞退していることを告げお引き取りいただきますが、お線香をあげていただくこともできます。無理のない範囲で対応しましょう。もしお香典を受け取ったら、お香典返しを用意してください。
弔問についてはこちらをご参照ください。
菩提寺
直葬ではお通夜や告別式、読経を行いません。つまり、菩提寺を通さずにお葬式を行うためトラブルに発展する恐れがあります。考えられるトラブルは戒名がつけられない、納骨ができないことの2つです。
もし、菩提寺があって直葬を希望するなら菩提寺に事前の確認をしてください。このとき、「直葬後に戒名をつけていただきたく思います。納骨の際には読経をお願いします」と伝えるとトラブルを防げます。
親族
ご親族様のなかには、お通夜と告別式、お坊さんの読経があってこその葬儀と考えている方もいます。また直葬は故人様とのお別れの時間が手短なため、さみしく思う方もいます。そうした方にとって、直葬は受け入れにくいものです。
もちろん最終的な判断を下すのは施主様ですが、トラブルを避けるためにも事前に知らせておきましょう。このとき、なぜ直葬を行うのかという理由も合わせて伝えると納得してもらいやすくなります。
もしくは、直葬を行ったあとにお別れ会を開くことでも対応できます。
直葬のマナー
直葬に参列するときに気をつけたいポイントは3つあります。
衣服は喪服または準喪服
施主様やご遺族様は喪服を着用します。
直葬に参列するときは、準喪服を着用してください。案内状に「平服でお越しください」とあるときは、略喪服を着用して参列します。男女ともに地味で控えめな服装にして、光沢のあるものや柄のあるもの、露出の多い服は避けてください。
女性の場合、結婚指輪以外のアクセサリーは外しますが、真珠のついたものは着用できます。ネックレスは一連のものにしてください。
お香典
直葬では原則、お香典は不要です。どうしてもお渡ししたいというときは、ご遺族様に直接お渡しするか、お焼香の直前に祭壇にお供えすることができます。
ご遺族様にお渡しするときは、顔が上向きになったときに「こちらをお供えください」と添えてお渡しします。祭壇にお供えするときは、自分からみて表書きが読める向きでお供えしてください。
ご遺族様はお香典を受け取ったら、お香典返しをお渡ししてください。その場に用意していればすぐにお渡ししますが、なければ忌明けしたあとにお渡しします。
食事は個別でいただく
直葬では基本的に精進落としを行いません。火葬が終わったらお線香を手向け、解散するのが一般的です。火葬の待ち時間に食事を取ることもできますが、あくまで軽食と捉えてください。
直葬は現代に適応した葬儀スタイル
家族のあり方や過ごし方、価値観の多様性が急速に拡大しつつある今、誰もが「自分にとっての家族(仕事、恋愛など)とは?」と手探りで答えを探している状態です。そんななかにあって直葬というお葬式が現れたのは、悩む人々にとって1つの答えでもあります。
どんなスタイルのお葬式でも、それが適しているのならば間違いではありません。心のこもったお葬式を執り行いたいと考えるなかで、直葬が適していると感じるのならそうしてもよいのです。
とはいえ、悔いを残さず故人様をお見送りするためにも、事前の打ち合わせや案内には気を配ってください。心のこもったお葬式をあげることができれば、誰もが自然と満足できるはずです。