葬儀の仲介業者を利用するメリットとデメリット、地域の葬儀会社とも比較
葬儀の仲介業者とは、葬儀ブローカーと呼ばれることもあります。
Web上で葬儀プランや会社を宣伝して、ご遺族様に紹介する業者です。ご遺族様から依頼を受けた仲介業者は、加盟する葬儀会社に葬儀を手配します。
葬儀をどこに依頼すればよいのか分からないご遺族様にとって、仲介業者は頼れる存在です。ただし、高額な料金を請求されたりニーズに合わない業者を紹介されたりする可能性もあります。
そのため、依頼する前に葬儀のスタイルやプラン、希望することを明確にしておきましょう。
今回の記事では、葬儀の仲介業者のメリットとデメリット、地域の葬儀会社との比較を解説します。
悔いのないお葬式を執り行うために、記事を読み進めていきましょう。
葬儀の仲介業者の役割
葬儀の仲介業者の役割は、ご遺族様と葬儀会社をつなぐことです。
葬儀をどの会社へ依頼すればよいのか分からないとき、仲介業者へ依頼すると適切なプランや葬儀会社を紹介してもらえます。仲介業者は主にWebサイトやSNSなどで宣伝、集客を行っています。
Web上での集客が盛んなのは、日常のあらゆるシーンでWeb検索を活用する人が多くなったためです。
葬儀を仲介するときの流れ
業者が葬儀を仲介するときの流れは以下のとおりです。
- 仲介業者がWebで宣伝する
- ご遺族様が業者へ依頼する
- 仲介業者は加盟している葬儀会社へ葬儀を手配する
- 葬儀会社が葬儀を施行する
- ご遺族様が葬儀会社へ葬儀費用を支払う
- 葬儀会社は仲介業者へ仲介手数料を支払う
仲介業者はWeb上で集客し、葬儀会社に葬儀を手配します。
そのため葬儀会社は自社で集客する手間が省けますが、受け取った葬儀費用から20〜40%程度の仲介手数料を支払います。
葬儀の仲介業者を利用するメリット
葬儀の仲介業者を利用するメリットは4つです。
- 費用が明確で分かりやすい
- 葬儀会社を紹介してもらえる
- 葬儀プランがニーズ別に用意されている
- 複雑な手続きを一任できることがある
費用が明確で分かりやすい
仲介業者が提示する費用が明確で分かりやすいのは、葬儀会社と事前に交渉してパッケージ化しているためです。ただし、オプションの付加や状況によっては追加料金が発生することがあります。
葬儀会社を紹介してもらえる
葬儀会社を紹介してもらうことで、葬儀を執り行うための段取りが楽になります。大切な人を亡くしたときは誰もがパニックになり、葬儀会社を比較検討する余裕を持てません。
仲介業者に依頼すれば、加盟する葬儀会社からご遺族様の希望に添った会社を紹介してもらえます。
葬儀プランがニーズ別に用意されている
ご遺族様が希望する葬儀のスタイルを仲介業者へ相談できます。主な葬儀の形式は以下の4つです。
- 一般葬
- 家族葬
- 一日葬
- 直葬
使用する仏具や祭壇の規模なども伝えれば、内容に適したプランを提案してもらえます。また、希望に添えるよう業者からご遺族様へ追加のサービスやオプションを提示することがあります。
複雑な手続きを一任できることがある
大切な人を亡くしたなかで、死亡手続きや葬儀の手配などを一手に担うのは大変なことです。仲介業者へ相談すると、死亡届や火葬、埋葬許可などの申請を一任できることがあります。(書類に記入するのはご遺族様です)
ただし、手続きを一任できるかどうかは業者やプランによって異なります。手続きを一任したいときは業者にその旨を伝え、相談しましょう。
葬儀の仲介業者を利用するデメリット
葬儀の仲介業者を利用するデメリットは3つです。
- ニーズに合わない会社を紹介されることがある
- 対面サービスがないため、ご遺族様の希望が伝わりにくい可能性がある
- サービスのクオリティーに差が出る可能性がある
ニーズに合わない会社(プラン)を紹介されることがある
故人様の生前の希望やご遺族様の要望に合わない会社(プラン)を紹介されることがあります。希望していない会社やプランは、はっきりと断ってください。
ほかに、業者から提示される選択肢が多すぎるために絞り込みきれないことが考えられます。
対面サービスがないため、ご遺族様の希望が伝わりにくい可能性がある
ご遺族様の希望が伝わりにくい可能性があるのは、仲介業者とご依頼者様が対面できないこと。
仲介業者と葬儀会社が対面できないことで、情報を正確に共有できていないときです。
仲介業者は、ご遺族様と葬儀会社の橋渡しを行うのが役割です。葬儀への希望や要望をオンラインや電話だけでヒアリングして適切な会社を紹介しますが、葬儀の進行はすべて葬儀会社に委ねられます。
そのため、ご遺族様の希望や故人様の思いを反映できない可能性があります。
ご遺族様の担当スタッフが変わるときに、引き継ぎができていない場合も同様です。
サービスのクオリティーに差が出る可能性がある
サービスのクオリティーに差が出る可能性があるのは、葬儀会社が支払う仲介手数料が原因です。
葬儀会社は仲介業者に加盟して仕事を割り振られているため、葬儀を執り行ったときは仲介業者へ手数料(20〜40%程度)を支払います。
この手数料は葬儀会社にとって大きな負担となり、結果的に葬儀会社が受け取る利益は少なくなり、葬儀にかけるコストを削減するようになります。削減の対象は物品の品質やスタッフの人数です。
これによって施主の方にとっては、支払った金額とサービスの質が合わないと感じることがあるかもしれません。
葬儀会社へ直接依頼したときのメリットとデメリット
葬儀会社へ直接依頼したときのメリットとデメリットを、以下にまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
仲介手数料がかからない | 自分で葬儀会社を探す手間がかかる |
対面相談ができ、その地域の風習や作法に通じている | ご希望プランに対応していないことがある |
- 葬儀会社へ直接依頼する最大のメリットは、高額な仲介手数料が不要という点です。そのため、葬儀費用を抑えられることがあります。
- 地域密着型の葬儀会社であれば、対面での相談が可能です。また、その地域の風習や作法にのっとった葬儀を行えるのも利点です。
- デメリットは葬儀会社を自分で探して手配するため手間がかかることです。亡くなってからすぐに手配するため、葬儀会社を比較して検討する時間が取りにくくなります。
- ご希望の葬儀プランに対応していないことがあるため、各社のプランをホームページなどで確認する必要があります。
葬儀を依頼する前に考えたいこと
葬儀を依頼する前に考えたいことは3つあります。
- 葬儀を執り行う地域と場所
- 葬儀の形式と人数
- 予算の上限
葬儀を執り行う地域と場所
葬儀を執り行う地域と場所を決めておきましょう。
地域を決めておくと、そのエリアに対応した業者を探しやすくなります。
葬儀を行う場所は主に3つです。
- セレモニーホール
- 宗教施設
- 自宅
3つの場所で葬儀を行うメリットとデメリットを、簡単にまとめました。
場所 | メリット | デメリット |
---|---|---|
セレモニーホール | 葬儀をスムーズに行える設備が整っている | 会場の規模によって使用料が高くなる |
宗教施設 | その宗教または宗派の作法にのっとったお葬式ができる | 場所によって控え室や安置所の有無が異なる |
自宅 | 思い出のつまった場所でお別れができる | 片付けやお坊さんのおもてなしで慌ただしくなる近隣への配慮が必要 |
セレモニーホールのメリットは、葬儀に必要な設備やご遺族様が利用できる控え室が用意されていることです。そのため葬儀をスムーズに執り行え、ご遺族様の負担を減らせます。
ただし、会場の規模によっては使用料が高くなることがあります。また、少人数のお葬式では会場が広すぎることがあるため、依頼するときに確認しましょう。
お寺や教会などの宗教施設は、特定の宗教や宗派の作法にのっとってお葬式を執り行えます。ただし、施設によって安置所や控え室の有無が異なるため、段取りを確認してください。
自宅は故人様との思い出がつまっている場所です。あたたかなお葬式ができ、ご遺族様は自宅でゆっくり体を休められます。
注意したいのは、自宅の片付けやお坊さんへのおもてなしなどで慌ただしくなる点です。また、親族の車を止める場所がなかったり、棺を置くスペースを確保できなかったりすることがあります。
葬儀の形式と人数
葬儀の形式と人数を決めておくのは、葬儀プランを絞り込んで費用を把握しやすくするためです。人数はおおよその見当でもかまいません。
葬儀の形式や人数の規模があいまいになっていると、葬儀会社も適切なプランを提案しにくくなります。
後悔しないお葬式のためにも、事前に葬儀の規模の見当をつけておきましょう。
予算の上限
予算の上限を決めておくのは適切なプランを選びやすくして、不要なオプションやサービスの付加を避けるためです。
葬儀費用を惜しむことをためらう気持ちはうなずけますが、あとで「本当はいらなかったのに」と思う方が心残りですし、予算を決めておくと、不要なオプションを断りやすくなります。
葬儀会社の選定ポイント
葬儀会社を選定するポイントは5つあります。
- その地域で長く運営されている
- プランの費用と内容が明確である
- スタッフが対面で親身になって対応してくれる
- 葬儀に役立つ情報を発信している
- 評判や口コミを確認してみる
以下にある、内閣府が公開するPDFも参考にしてください。
葬儀業界の現状|10.葬儀で失敗しないために
葬儀業界の現状|11.葬儀業界の消費者トラブル
要望に添った葬儀を執り行うために
ご遺族様の要望や希望に寄り添い、選択を委ねてくれる業者を選びましょう。
要望や希望を伝えれば、内容に添ったプランや葬儀会社を紹介してもらいやすくなり、後のトラブルを回避できます。
「いいお葬式ができた」とおだやかな気持ちで過ごすためにも、希望することを明確にしましょう。
自分自身のお葬式について希望があれば、エンディングノートに記入しておくことをおすすめします。
葬儀会社と仲介業者との仕組みを理解して後悔のないお葬式を
葬儀の仲介業者はご遺族様と葬儀会社をつなぐことが仕事です。
しかしそこには多額の仲介料が発生しており、その負担がサービスのクオリティに影響することもあります。
悔いのないお葬式を執り行うために業者の評判を調べ、葬儀に希望することや予算などをはっきり伝えてください。
Webサイトやパンフレットを比較して、自分が納得できる葬儀会社を探しましょう。