お彼岸に食べる「おはぎ」と「ぼたもち」の違いは? 食べる理由についても解説
お彼岸が近くなると、スーパーやコンビニの目立つところにおはぎやぼたもちが陳列されているのをみかけます。
「おはぎとぼたもちは何が違うの?」
「お彼岸におはぎやぼたもちを食べるのは何故?」
おはぎやぼたもちの違いとして挙げられるのは、食べる時期やあんの種類などです。また、おはぎやぼたもちには魔除けや五穀豊穣の願いが込められています。
今回の記事では、おはぎとぼたもちの違いやお彼岸に食べる理由について解説しています。おはぎやぼたもちに込められた意味を知り、より心のこもった先祖供養ができるよう記事に目を通しましょう。
おはぎとぼたもちの違い
おはぎとぼたもちの違いは3つあります。
- 食べる時期
- あんの種類
- 形状
おはぎとぼたもちの違いを以下にまとめました。
おはぎ | ぼたもち | |
---|---|---|
食べる時期 | 秋のお彼岸 (9月) | 春のお彼岸 (3月) |
あんの種類 | つぶあん | こしあん |
形状 | 俵型 | 丸型 |
おはぎは秋のお彼岸に食べ、ぼたもちは春のお彼岸に食べます。
なぜなら、おはぎは秋に咲く萩(はぎ)の花を指し、ぼたもちは春に咲く牡丹(ぼたん)を表しているためです。
お彼岸の時期についてより詳しく知りたいときは、以下の記事を参考にしてください。
あんの種類が違うのは、あずきを収穫する時期が異なるためです。
あずきは秋が旬のため、皮がついていても美味しく食べられます。そのため、おはぎにはつぶあんが用いられます。
ぼたもちにこしあんを使用するのは、秋の収穫以降、固くなったあずきでも食べやすくなるためです。
おはぎは萩の花を模して、俵の形をしています。ぼたもちは牡丹の花をイメージして、丸い形に仕上げます。実際の萩の花と牡丹の花の形状を知りたいときは、NHK出版が公開する以下のページを確認してください。
お彼岸におはぎやぼたもちを食べる理由
お彼岸におはぎやぼたもちを食べる理由は、主に3つあります。
- 魔除けや無病息災を願うため
- ご先祖さまにお供えするため
- 五穀豊穣を願い感謝の気持ちを表すため
魔除けや無病息災を願うため
魔除けや無病息災を願うのは、あずきに魔除けの効果があるといわれているためです。
あずきの色である赤は、古来より太陽や血液など生命力を象徴する色として魔除けに用いられてきました。そのため、あずきは邪気を払う食べ物としてご先祖さまにお供えするようになったといわれています。
ご先祖さまにお供えするため
ご先祖さまにお供えするのは、かつて砂糖が高級な食材だったためです。砂糖をふんだんに使用したおはぎやぼたもちは特別な食べ物でした。
特別な食べ物であるおはぎやぼたもちを用意して、ご先祖さまに日頃の感謝を伝えたり願掛けしたりしていたといわれています。
五穀豊穣を願い感謝の気持ちを表すため
五穀豊穣を願い感謝の気持ちを表すのは、日願(ひがん)信仰とお彼岸が関連しているためです。
日願信仰とは、太陽や作物の恵みに感謝することです。
そのため、おはぎやぼたもちを通じて春のお彼岸には豊作を願い、秋のお彼岸には収穫と実りに感謝の気持ちを表すといわれています。
おはぎやぼたもちの名称は地域や季節によって異なる
おはぎやぼたもちの名称は地域や季節によって異なるため、耳慣れない単語に戸惑うことがあるでしょう。
一部地域では、おはぎやぼたもちのことを「はんごろし」「みなごろし」と呼びます。はんごろしは、ごはんやあんの粒を残して潰したものです。みなごろしはごはんやあんの粒をすべて潰したものを指します。
また、おはぎやぼたもちは夏と冬で固有の名称があります。夏と冬の名称は以下のとおりです。
季節 | 名称 |
---|---|
夏 | 夜船(よふね) |
冬 | 北窓 |
各名称は言葉遊びからきています。おはぎやぼたもちは米を潰して作るため、餅をつくときの「ぺったん、ぺったん」という音がしません。餅をつかないことから転じた各名称の由来を以下にまとめました。
名称 | 由来 |
---|---|
夜船 | 夜は暗く船がついても分からないことと餅をつかないためにいつ作ったか分からない様子をかけている |
北窓 | 北側の窓からは月がみえないことと餅をついている様子がみえないことをかけている |
まとめ:おはぎやぼたもちの違いを知り感謝の気持ちと共にお供えしよう
おはぎとぼたもちの違いは、お彼岸の時期やあんの種類、形状に表れています。
おはぎやぼたもちをお彼岸にお供えするのは、ご先祖さまや自然の恵みに感謝の気持ちを伝えるためです。お彼岸の時期には、感謝の気持ちと共におはぎやぼたもちをお供えしましょう。